レゴフレンズのダイバーシティを親は子供にどう伝えるべきか

2023年1月に新しくなったレゴ®フレンズシリーズについて書いていきます。レゴブロックはどの製品も、“遊びながら学んでもらうこと”というコンセプトでつくられています。このシリーズにはダイバーシティ(多様性)について多くの人に学んでもらいたいという想いが込められています。しかし「子供になんて伝えたらいいんだろう?」と悩んでしまいますよね。そんな大人のためにこの記事を書きました。

かつて「自分らしさ」よりも、「男らしさ」や「女らしさ」が尊重された時代がありました。

人間は性別や年齢、国籍、人種、宗教、障がいの有無など個々に違いがあり、それを受け入れている社会をダイバーシティと呼びます。さらに踏み込んだ言葉にインクルーシブという言葉があります。多様性が受け入れられているだけでなく、さらにそれぞれの個性が尊重されながら共生している状態を表しています。自分では「差別意識をもっていない」と思っていても、無意識のうちに自分とは異なるものや人に、抵抗感を示すことがあります。それを「無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)」と呼びます。少々難しい話ですが、こういった人たちを包摂するか排除するかの議論は大人だけがするものではありません。

若い世代とつながりを持とうとして社会的なテーマを取り上げるレゴ社の「意識高い姿勢」を見透かして賛否の声が生まれているのも事実ですが、取り組みをバッサリと批判する前にまずは向き合って知ること学ぶことが大切でしょう。

日本で生活していると海外ほど多様な民族が顔を揃える機会はあまりありません。しかし、日本の少子高齢化は確実に進行しています。また、グローバル化や情報化が進展する現代社会では、先を見通すことがますます難しくなっていくでしょう。さらに、技術革新により子どもたちが将来就く職業の在り方も大きく変化していくことも予想されています。我々大人たちが見てきた日本の光景がこの先もずっと続くとは限りません。

目に見える多様性だけではありません。徐々にLGBTQ(性的マイノリティ※)の認知も世間で広がっています。一方で、教えるための知識は不足しています。学校の先生も生徒も、LGBTQについて学んだことがある人は1割程度しかいません。多くの保護者にとって、子どもに「性」をどう教えるかは大きな悩みの種でしょう。

「LGBTQについて学ぶ」と言うと、「マイノリティの人を理解しよう」「認めてあげよう」と言った方向に話が向かいやすく、ともすれば差別を助長する危険性があります。しかし、性についてはLGBTQに分類しきれず、もっとグラデーションのように人によって違う十人十色だと言われており、じつは平等でみんなの問題と言えます。

motivation

僕はボランティア活動の子供達と直接関わるなかで、多様性について真剣に考える機会が増えました。

ある中学生の女の子から「わたし、ほんとうは女の子が好きかもしれない。友達の会話に相槌を打つのが心苦しいし、自分の正直な気持ちを自ら否定していることがつらい」、

高校生の男の子からは「僕…無性愛者なんだよね。恋愛ってどんなもの?」と実際に悩みを打ち明けてくれた子がいました。

このダイバーシティやLGBTQについては遠い世界の話ではなくとても身近な問題です。子供たちの中にも生きづらさを感じている当事者がいます。

もしも自分の娘からそんな悩みを打ち明けられたら、どんな言葉をかけますか?

友達から悩みを打ち明けられた息子が悩んでいたら、あなたはどう相談に乗ってあげますか?

【※LGBTQとは】Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人)、QueerやQuestioning(クイアやクエスチョニング)の頭文字をとった言葉で、性的マイノリティ(性的少数者)を表す総称。

新しくなったレゴ®フレンズの商品コンセプト

レゴ社は性別によるカテゴリー分けではなく、「自分が好きな世界を自由に選んで欲しい」との想いから、2017年のおもちゃの商品カタログで男の子向け、女の子向けといった表記をなくしています。

そして、2023年レゴ®フレンズシリーズのリニューアルはさらに一歩踏み込んだ取り組みを始めました。前作のキャラクターは女の子5人組でしたが、今回から男女8人組に変更されました。また、さまざまな人種、身体的障がいや目に見えない障がいのある人、不安などに苦しむ人などが混在する複雑な現代社会をよりリアルに再現しようとしています。

キャラクターの性格もそれぞれに設定があります。オリーはとても積極的で説得力がある発言をするけど、意図せずに他人に強引になってしまうことがある子。ペイズリーは、音楽に対して才能がありながらも、他人に対して壁があり自信がなく、なかなか自分の才能を発揮することができません。リアンは明るい性格ですぐ友達をつくることができますが、衝撃的なのでいつもトラブルを起こしがちです。そして、リーダーシップがあるアリヤは、他人に助けを求めることができない一面があります。

性別、人種、障がいの有無などの多様性だけではなく、それぞれのキャラクターの性格や興味の多様性にもスポットを当ててそれぞれみんなが長所も短所も持ち合わせているところが今回の大きな特徴です。

子ども時代はジェンダー差が植えつけられていない貴重な時期

私たちの社会生活において様々な性格の人がいます。学校のクラスも同様で、障がいのある子も、シングルペアレントの親を持つ子も、才能があってもステージで緊張する子もいます。完璧な人間ばかりではなく、いろんなタイプの人間がいるということをこのレゴ®フレンズを通して親子で一緒に話し合うことができればいいのではないでしょうか。

これは、大人が一方的に説くものではありません。子どもに話すタイミングや幅は、子どもから疑問を投げかけられた時です。

街で女装家を見て「男の人なのになんでスカートはいてるの?」、TVで青い瞳の人を見て「なんでこの人は目が青いの?」など率直な疑問を投げ掛けられると思います。「このミニフィグにはどうして手がないの?」とその疑問を持った時に、疑問がなくなるまで丁寧に答えてあげましょう。

この世に完璧な人間なんて1人もいません。DNAを見ると世界中の人間は99.9%がみんな同じなのだから、0.1%ぐらい人と違うから個性が発揮できるのです。

多様性のある友達の大切さを、レゴで「遊びながら学んで」もらいましょう。

幼いうちから自己判断させることはとても大切です。子供は自分の意思を尊重されることで、自己肯定感を高めていきます。

親ができることは、“選択できる多様なカード”を用意することにあります。そのためには親も知識が必要であり、世の中の多様性を理解しなければなりません。

まとめ

いま世界では多様性に関するさまざまな議論が続いています。性の多様性が認められない、人種の多様性が認められない、働き方やキャリアの多様性が認められない等さまざまです。その多様さは現在の社会の中で十分に認められ、活かされているとは残念ながらまだ言えません。日本でこの議論が遅れているのは島国ならではの「みんな一緒がいい」という同調圧力によるものです。

職場、学校、SNS界隈、サークル、家庭内など、あらゆるグループ内に存在するプレッシャーがあり、誰もが生きづらさを感じています

「クレージーな人たちがいる、はみ出し者、反逆者、厄介者と呼ばれる人たち、場に馴染めない人たち、物事をまるで違う目で見る人たち(中略)しかし彼らを無視することは誰にもできない、何故なら、彼らは物事を変えたからだ。(中略)自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが本当に世界を変えているのだから。」

(1997年アップル60秒CMより)

もしこれを読んでいるあなたが人と違うと思ったら、自身に蓋をするのではなく、自身を愛する「勇気」こそが必要かもしれません。

意識が変わった途端に見える現実が変わり始めます。外側にあるものが現実として見えるのではありません。自分の心の中にあるものが見える。それがこの世界のからくりです。

最後に余談ですが、今回のレゴフレンズでキャラクターたちが総入れ替えしましたが、じつは前作の女の子5人組が初登場してからもう10年経っており、今回の新キャラの一部が前作の子供という設定になっています。例えば新キャラオータムはミアの子供です。親から子にレゴブロックが受け渡されるようにミニフィグ達の物語は続いていると思うとほっこりした気持ちになりますね。

ここまでお読みいただきありがとうございました。それではまた!

LEGO社によるプレスリリースはこちら(英語のみ)

https://www.lego.com/ja-jp/aboutus/news/2023/january/lego-friends-2023

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