【LEGO】芸大生が教えるレゴ作品でオリジナリティに悩んだ時の対処法

こんにちは、Keibricksです。今回は「自分の作品のオリジナリティに悩んでいる」方に向けた記事です。芸術大学でアートを学び、デザイナーとなった経験を持つ僕なりの視点で書きましたので、少しでもヒントを見つけてくれたらと思います。

そもそも「オリジナリティのあるレゴ作品」って何でしょう。笑

どんな作品でもレゴブロックからできているので、強引にプリント柄を削って落とそうが特性を生かしている以上、それはレゴであることに変わりありません。ですが、ブロックはあくまで画材であるため、結果何を表現したかを世間はあなたのオリジナリティとして評価するでしょう。

玩具ではありますが、意図を持って独自に組み上げたものであれば、それは立派な作品と言えます。

「オリジナルの作品が作れない」と悩む子との出会い

先週末、京都で「レゴブロック作品展 in 梅小路」が開催され初参加しました。かゔぇさんの企画で1500人を超える来場者が訪れ、京都新聞社から取材をいただくほど大盛況なイベントとなりました。(ぼくは「スキヤキ」という作品を初出展しましたので、もしよければご覧ください。)

そして2日目は京都大・立命館大・大阪大をはじめ、関西の大学生らがメインとなる初の合同作品展も開催されました。

学生と会話をしていると、この展示会に限らずなんだか建築設計や機械工学に進んでいる学生が多い気がします。(レゴの影響絶対受けているんだろうな…笑)

楽しそうに作品解説をする彼らを見ていると特別天才!なのではなく、ただ自分に自信を持っていてやりきる力が人一倍備わっているように感じました。

そんな学生が多いこの展示会で、「僕もレゴは好きだけど、どうやったらこんなオリジナル作品が作れるのか」と悩んでいる来場者の中学生に出逢いました。きっと表現したいことは頭の中にたくさんあるんだろうけど、まずどうしたらいいのか分からないんだと言いたげでした。

クリエイティブの一歩手前で足がすくんでいるだけで、あとは勇気を持って踏み出すだけです。だから「頭の中であーだこうだ考えるより、まずは使ってみたいパーツを手にチャレンジしてみたら?」と若輩者ながらアドバイスさせていただきました。

結論を申しますと、「オリジナリティーを生む」には自分の判断で色々チャレンジしてみることです。この経験が自分に自信を持ち、最後までやりきる力になります。オリジナル性はあとから勝手についてきます。

新しいことへの挑戦を怠っていないか

もう少しオリジナリティとは何かについて深く考えていきましょう。自分の判断で色々チャレンジする者が創作の過程で大切なアート思考というものがあります。

  • 自分だけのものの見方で世界を見つめ
  • 自分なりの答えを生み出し
  • 新たな価値によって、次の問いを生み出す力 です。

遠近法を使ったリアルな絵画だけが良い作品なのだろうか。自分の美的価値観は本当にこれであっているのだろうか。アート思考はこうした思考プロセスであり、自分の視点で物事を観察し、自分なりの答えを導き出す方法です。

逆を言えば、同じような作品を手グセでただ長年にわたり作り続けていると、自己模倣の怠惰者でしかなくなってしまいます。このままではヤバいと気づけた人は試行錯誤をはじめ、次の自分だけのフェーズに進むことができます。「芸術は爆発」であり、破壊からの創造です。

常識的なものの見方を今日は置いておき、あたらしい答えを探す訓練をまずしてみましょう。

この作品をご覧ください。ニューヨークの現代アート作品展に出品されたマルセル・デュシャンの「泉」という作品です。

Photo credit: filosofianetdadaismo via VisualHunt.com / CC BY

…ええ、ただの男性用小便器ですよ。横たわった便器に実在しないアーティストの名前でサインが書かれているだけですw

これを見てどう思いましたか?

ぼくは「はあ?!芸術って意味わからんやん」でした。笑

当時の人々も同じように「便器じゃん!え、でもここは美術館だし?ん?これも芸術??」と頭の中が大混乱したことでしょう。

しかし、やがてこの便器騒動は、便器の形は変わらないのに、生まれた価値観があります。それが「観念」や「概念」でした。これこそ価値の源泉でありブランドの本質であり、芸術作品の評価の理由にもなることなのです。

ほとんどの人は曖昧な「色が綺麗…」といった好き嫌いで作品を見がちです。(美術館に初めていくならそれでいいと思います。まずは楽しむことからです)

しかし、その表面的・主観的見方では作品の真価を見えにくくします。この便器を通して、いままでの常識にとらわれず自分なりの新しい考え方ができれば、作品と対話ができたことになります。それを自身の作品でも意識してみると創作活動が面白くなってきます。自分の作品には人の想像を膨らませる起爆剤をたくさん仕掛けてみましょう。

便器の話が少しむずかしいなと思ったあなた、あなたの家に絵は飾られていますか?

海外では道端で無名の画家による絵が売られており、日頃からアートに触れる機会が多いといいます。感性を磨くためには自然に触れ、音楽やアートといった様々な芸術に日頃から触れておくことをおすすめします。ちなみにぼくはオペラ鑑賞が大好きです。オペラは総合芸術と言われており全然知識がなくても刺激を多く受けることができて結構楽しいんですよ。笑 (全国の美術館の最新情報をチェック

誰でもすぐに楽しく作れるのがレゴの良いところ

レゴの作品づくりをする人たちを見渡してみると、同じ創作活動でも目指しているものが全然違うなと感じます。

  • レゴアクティビティとしてのオリジナリティ
    • 大きい作品、誰も作ったことがないものを再現、レゴの写真、等など
  • ブロック玩具としてのオリジナリティ
    • 誰もやったことがないブロックの組み方(たぶん再現系の人の多くはここ)
  • レゴを使った世界観としてのオリジナリティ
    • ブロックの組み方は普通でも作るモノは再現ではなくてその世界観にオリジナリティがあるもの

まとめるとこんな感じでしょうか。どこに重点を置くかも人それぞれですし、決して今のレゴ界隈にある作品群だけが正解じゃありません。誰かの真似ではなくて、自分の「好き」がなにかもっと考えて追求するところから始めてみてください。そこに新しい価値観が埋もれているかもしれません。本当にオリジナリティのある作品は次の時代の常識になっていくものです。

自分の中の「すばらしい」と思う感覚をもっと信じて、自分のセンスを愛することから始まります。そのうち社会が定義してきた価値観にとらわれず、自分の基準でものごとを判断できるようになります。『すばらしい作品』は、自分らしい表現によって生まれるものであって、スキルによって生まれるものではありません

まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございます。

勘違いしやすいのは、自分の中に独創的なオリジナリティーがあってそれが作品のアート的部分になっているという誤解です。頭を切り替えましょう、今まで見てきたその人の経験がやがてオリジナルに見える表現として発揮できるのです。

この記事で紹介したことをヒントに、一緒に創作活動を楽しんでいきましょう。ぼくも人生をかけてクリエイティブの勉強をしている仲間です。

最後にスティーブ・ジョブズが亡くなる6年前にスタンフォード大学で語ったスピーチの一部をご紹介して本記事を締めたいと思います。

「仕事は人生の大部分を占めます。だから、心から満たされるためのたった1 つの方法は、自分がすばらしいと信じる仕事をすることです。そして、すばらしい仕事をするためのたった1 つの方法は、自分がしていることを愛することです。もし、愛せるものがまだ見つかっていないなら、探し続けてください。立ち止まらずに。」

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