2024年11月22日(金)から24日(日)にかけて、東京大学駒場キャンパスで例年恒例の第75回駒場祭が開催されました。秋も深まるこの時期、銀杏の並木道は来場者で賑わい、3日間で約7万人もの人々がキャンパスを訪れたといいます。そんな中、毎年大きな注目を集める企画の一つが、東京大学の学生有志によって運営される 東大レゴ部(東大LEGO部) の展示です。今回の展示も例年に勝るとも劣らないクオリティと工夫に満ちており、来場者の足を止め、笑顔と驚きを誘っていました。
祭りの顔としての存在感 —— 東大レゴ部展示

駒場祭の会場の一角、1号館1階に設けられた東大レゴ部の展示スペースは、祭りの主役の一つとして長蛇の列ができるほど盛況でした。展示入口から目に飛び込んでくるのは、東京大学のロゴや象徴的建築物をレゴで再現した作品群。すべてがブロックで構成されているという徹底ぶりは、子どもから大人まで幅広い来場者の心を掴んでいました。実際に見る人たちは、作品の緻密さと再現度に息をのむように立ち止まり、スマートフォンで写真を撮影していたのが印象的です。

この展示は単なるレゴ愛好家の作品発表ではありません。東大レゴ部の活動の集大成であり、日々の学業と並行しながら制作された“創造物”の成果発表の場でもあります。部員たちは数カ月にわたり、作品のテーマ設計、パソコンでの設計図制作、パーツ選定、組み立て、評価といった制作プロセスを積み重ねてきました。この蓄積が、単なる“遊び”以上の作品としての完成度に結実しているのです。
個性あふれる作品群 —— 150ピース企画から大型模型まで

東大レゴ部の展示は、大きく分けて個人作品群と大型共同作品で構成されていました。まず個人作品では、部員それぞれの趣味やこだわりが色濃く反映されたミニチュアが並びます。例えば、古典的な名所を再現した作品として、ノイシュバンシュタイン城やサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂があり、その色彩やパーツの立体感に来場者は思わず足を止めていました。また150ピースという限られたパーツ数で製作された作品では、創造性を研ぎ澄ませた自由な発想が光ります。韓国のシンボル建築である光化門(광화문)や、日本の文化を感じさせる作品など、国やジャンルを超えたレゴ表現が紹介されました。

さらに、映画やポップカルチャーをモチーフにした作品も目を引きました。『ハリー・ポッター』のシーンをキューブ状に閉じ込めたミニジオラマや、『ジュラシック・パーク』のゲート&ジープの自動機構付きモデルなど、見て楽しいだけでなく仕掛けがある作品も数多くありました。特に後者の作品では、EV3マインドストームを用いた自動開閉ギミックに挑戦するなど、技術面も高いレベルで表現されており、子どもだけでなく工学系の学生や保護者からも注目を集めていました。
旧東京中央郵便局やスペース・マウンテンなど注目作

大型作品では、『旧東京中央郵便局』や『スペース・マウンテン』といった大規模建築模型が展示され、そのボリュームと完成度に来場者が歓声を上げていました。これらの作品は単純に大きいだけでなく、建築物の特徴をよく捉えた精巧な作りで、立体構造への理解や部材の工夫を感じさせる仕上がりとなっています。

旧東京中央郵便局の再現では、建物の傾斜や造形を忠実に再現するための工夫が随所に施されており、来場者から「本物を見たことがある人なら思わずニヤリとしてしまう」といった声が聞かれました。また、スペース・マウンテンはSF的要素と建築的要素が融合した迫力ある作品として、特に若い来場者の関心を集めていました。
体験としてのLEGO —— 来場者との距離感










































































展示には作品のそばにQRコードによる投票システムが設置されており、見た人が気に入った作品に投票できる仕組みになっていました。QRコード自体もレゴで再現されているというこだわりぶりで、来場者は思わず笑顔になりながら投票していました。
この投票は単なる人気投票に留まらず、来場者と作品・作者をつなぐインタラクティブな仕掛けとして機能しています。作品を見て投票し、その結果が評価として作品制作者にフィードバックされる──そんな好循環が、東大レゴ部展示の醍醐味となっています。
未来へと続く制作の輪

東大レゴ部は、駒場祭だけでなく、春の五月祭でも展示を行い、毎回高い評価を受けています。大型作品は部員たちが数カ月をかけて設計・制作するものがほとんどで、その取り組みは学業と両立しながら行われています。CADの活用やパーツ調達の工夫など、技術的な取り組みも高度であり、学生ならではの視点と実装力が融合した展示になっているのです。
駒場祭の会場では、「レゴランドよりも刺激的だった」「子どもと一緒に何度も見に来た」という感想も聞かれ、単なる学園祭展示の枠を超えた地域・世代をつなぐイベントとしての側面も見えてきました。
結びに——創造力の祝祭としての駒場祭レゴ展示

2024年の駒場祭でも、東大レゴ部の展示は来場者に鮮烈な印象を残しました。歴史ある建築模型から映画・ポップカルチャーを題材にした作品、そして技術的挑戦を感じさせるギミックモデルまで、作品群は多彩でありながら統一感を持って会場を彩っていました。
この展示は、レゴというメディアが持つ自由な表現性と創造性の可能性を祝福する場でもあります。部員たちの情熱と技量、そして来場者の好奇心が交差するこの空間こそが、駒場祭の真骨頂とも言えるでしょう。
来年、再びどんな発想が形になるのか——期待は尽きません。
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